トンコハウスの世界観と制作手法に触れる【レポート】トンコハウス展 「ダム・キーパー」の旅

   

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前身はピクサーでアートディレクターだったふたり、堤大介氏とロバート・コンドウ氏の設立したアニメーションスタジオ「トンコハウス」
この『トンコハウス展 「ダム・キーパー」の旅』は短編映画「ダム・キーパー」を中心としたトンコハウスの様々なアートワークに触れられる展示会です。
そんな『トンコハウス展 「ダム・キーパー」の旅』の魅力を紹介します。

トンコハウスの今に触れる最初の部屋

DSC06053会場は3部屋に分かれて、入ってすぐの部屋はカリフォルニア州バークレーにあるスタジオをイメージした装飾になっていました。

現在制作中のアニメーション『ムームー』のアートワークを含めトンコハウスの今を感じられる空間となっています。

展示はスケッチブックに描かれた「ドローイング」「カラー・スクリプト」「マケット(キャラクターの立体模型)」「液晶モニターでの映像」等、展示の内容、方法は先日行った「スタジオ設立30周年記念 ピクサー展」に通ずる物がありました。
実際の制作現場もピクサーの制作手順、手法を取り入れたものになっているのだと思われます。

この部屋中央の展示の壁には来場者が好きに書けるよう縦長の黒板があります。
DSC05963私は描いてきませんでしたがこういうの良いですね。

出入口のあるこちらの部屋では案内とグッズの販売コーナーもありました。
(こちらで会場での写真撮影OKと言っていただきました)

短編映画「ダム・キーパー」展示の部屋

DSC05976次の部屋では短編映画「ダム・キーパー」のアートワークに触れられます。
部屋の中央に展示された登場キャラクターのマケットが目を引きますが、こちらで見るべきは制作の一部を紹介したメイキング映像でしょう。
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アクリル絵の具でのイラスト制作の様子や、一枚のデジタルイラストがPhotoshopで描き加えられることによって様々な天候や時間の表現に変わるメイキングなどを見ることができます。

短編映画「ダム・キーパー」はそんなクオリティで作られた手描きのアニメーション、8,000枚以上描かれたそうで、そのアートワークの量を想像すると気が遠くなりそうです。

こちらの部屋では他にNHKのどーもくんの人形を制作した「ドワーフ」制作のコマ撮り用ぶたくんの展示とメイキング映像もありました。
また「カラー・スクリプト」や「3Dプリントとアクリルでのキャラクター模型」等が展示され、そこにある作品や壁に書かれた言葉からは、短編映画「ダム・キーパー」での映像へのこだわりやキャラクター設定とストーリーへの想いが溢れていました。
DSC06001「3Dプリントとアクリルで制作されたキャラクターの模型」

長編映画「ダム・キーパー」の世界観に触れる部屋

DSC05992一番奥の部屋では「ダム・キーパー」の今後公開予定の長編映画の制作にかかわるアートワークが展示されていました。

長編映画になるダム・キーパーは3DCGアニメーションです。
さすがに同じ手法では時間と労力がかかりすぎますからね。

しかしその世界観を保つためのこだわりが展示の随所に見てとれました。

DSC06008手描きから3DCGのアニメーションになることによって変化するの主人公「ブタ君」の質感へのこだわり

DSC06013中央に展示された、風車小屋のジオラマもその一つ。物語で重要な意味を持つ風車小屋。
精巧な作りで風車小屋の小さな1フロアの写真を撮っただけですが、まるでアニメーションの1コマの様です。

作品にかける想いに今後公開の長編映画「ダム・キーパー」がとても楽しみになりました。

まとめ

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展示で特に魅力的だと感じた作品の一部を紹介しました。
大きな展示会場ではありませんが、トンコハウスが創る作品の魅力が詰まった展示会となっています。
入場料も無料で楽しめますので是非足を運んでみてください。

あらためてアニメーション制作とは人々に夢を与える仕事なのだなと感じました。
物を作る人間としてその表現等で自己顕示が強くなりがちなのですが、それが見る人たちの心にプラスになる物であることが最も大事だと気付かされた展示会でした。

新橋「クリエイションギャラリー G8」にて。2016年4月28日まで(日曜日・祝日は休館日です)

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